仕事で辛くなったときの対処法について(過労自殺をしないために)
昨日今日と、久々にベッドの上でゴロゴロし、ネットサーフィンしつつボーっとするだけという、無為な休日の過ごし方をした。
ようやく暑さが和らいで来たかと思ったら、あっという間に身を切るような冷たい風が吹くというような、急激な気候の変化だ。
「秋」が来ないまま、夏から急に冬に移ったような感じ。
ここ数年、季節の変わり目の度に、精神的・肉体的なしんどさを感じるようになった。
おまけに今は秋の花粉の影響か、鼻詰まりと微熱で脳みその動きが重く、全身がだるい感じだ。
油断していると、すぐに頭の中にネガティブな発想がふいと浮かび、そのままじわじわと脳内を満たしてしまいそうになるし、
体はとてもじゃないが動かせるような気力がわかず、ベッドの中で仰向けになって何時間もじっとしているというありさまだ。
そうすると、ますますネガティブなことを次々と思いつき、結論を出せないままぐるぐると思考の迷路を回りまくり、
ますます気力はグロッキーにな方向へ落ち込んでいき、一歩たりともその場から動きたくなくなってくるという悪循環だ。
※ ※ ※
電通の新入社員の高橋まつりさんが、過労の末自殺したというニュースが飛び込んできて、もう1ヶ月くらいが経つだろうか。
2015年卒といえば僕と同世代だし、広告業界にも何人か友達がいる。
さらに僕自身、広告業界とも近しい業界にいるので、このニュースはちょっとシャレにならないぞ、と思った。
いったい何が彼女を死に追いやってしまったのか?
彼女のプロフィールを見てみると、
母子家庭に育ち、静岡の高校を卒業したあと猛勉強の末東大に合格して単身上京、
大学在学中は週刊朝日のアシスタントとして活躍し、卒業後は電通に入社。そして、日進月歩の勢いで進歩する、インターネット広告を担当する部署に配属される。
はっきり言って、ものすごいバイタリティだ。普通の大学生に比べて、体力も頭脳も段違いだ。
だからこそ、彼女が「たった」105時間の残業が原因で死んでしまうとは思えない。
長時間労働のほかに、何か複合的な要因があるに違いない。
※ ※ ※
ネット上で、彼女を自殺に追いやってしまった要因について、様々な憶測が流れている。
根拠になっているのは、主に彼女が生前行っていたツイッターの内容だ。
例えば、彼女が上司からセクハラやパワハラを受けていたんじゃないか、とか、
自殺の直前には彼氏にフラれていたんじゃないか、とか、そんなことが遺されたツイートの内容から推測されている。
だが、ツイッターから見えてくるのは所詮断片だ。140文字で表現できることは非常に少ないと言わざるを得ない。
彼女と同じ場を共有し、同じようなことを見聞きしていない限り、ツイートから真実に迫るのは難しい。
なので、僕は、あえてここは全くの主観で考えてみたいと思う。
彼女と同じ会社に勤めている訳でないが、可能な限り合理的と思われる推測をしてみる。
彼女はずばり、「相談」ができていたのだろうか。
1年目で、仕事をするためのノウハウも知識も無い。分からないことは先輩に相談するしかないが、先輩が常に忙しそうにしている。
ネット広告の世界は細かい作業が多く、また知識のアップデートも頻繁に行われる。
人手は常に足りないし、ノウハウも体系化されていない。
その場その場の瞬発力、勘勝負になってしまう面もある。
勝負のセオリーが見えない、正解が誰にもわからない。その中で、あの激務である。優秀な彼女には、重要な仕事が「任される」ことも多かっただろう。
しかし、社会人1年目というのは、「組織人」になりきる時期でもある。
聞く限りの話だが、例えば昔のサラリーマンなんかは、2年目・3年目あたりまではコピーとか鉛筆削りとか、誰にでも出来るような雑用から始めることが多かったのではないか。
仕事を早く覚えて発想勝負でガンガン行きたい、というタイプの人間にはもどかしいかもしれないが、しかしそれだけゆっくりと「組織人」として慣れるための時間は合った。
しかし、今の会社に、まだ「慣れ」が必要だ、なんていう「余剰人材」を抱える余裕は無い。超大手の電通でも、多分そうだろう。
そうなると、新入社員は「組織慣れ」と「仕事慣れ」という、異なる2つの大きな能力を同時並行で身につけなくてはならない。
さらに、社会人1年目という立場では、先輩の言うことは絶対だ。
任される仕事は何のためにやることで、どこに力を入れ、どこで手を抜けばいいのかという勘所がまだ分からない。とにかくやれと言われたらやるしかない。
クライアントや社内の人間関係もまだ分からないことが多い。
この人は速いレスポンスが好きだからとにかくスピード重視で、あの人は優しいけどこの業務はやたら細かく見るから丁寧に、といった、
相手の特徴に合わせた1to1の仕事のやり方が、まだ1年目では分からないのではないか。
この人は凄く真剣で整った口ぶりで話すけど、実は忘れっぽくて一貫性が無いから、この人の言うことは話半分に聞いておこう、
というような、「上手な」手抜きができない。
こうした「良い」手抜きは重要だ。
何しろ僕らの世代はこれから40年、いや50年は恐らく働くことになるのだから。全力ダッシュは長く続かない。
しかも、彼女は実家でなく、一人で寮に住んでいたという。
かつての同級生や会社の同期も皆忙しく、会って愚痴を話せる時間も取れない。
言いたいことは言葉にできないまま溜まり、しかし孤独は募るばかりだ。
加えて、冬の寒さだ。
これはバカにできない。
日照時間が少なく、どんよりとした天気が続く。寒いと外にも出たくなくなり、開放的な気分にはとてもじゃないがなれない。
冬になるとリスクが高くなるのは、季節性うつというやつだ。
仕事では叱られ、何をすればいいかわからず、暗夜行路に迷い込んだようになり、それを孤独に持ち帰り、抱え続ける。
死ぬくらいなら仕事を辞めよう、ということを冷静に考える余裕は、既に残っていなかったはずだ。
※ ※ ※
自分が仕事で落ち込んだ時に実践している思考法が、
「自分をギャグ漫画の主人公だと思うこと」である。
こち亀とかバカボンとか、そういう漫画の主人公が現実にいたらどうだろうか?
きっと、周囲のまともな人間からすれば、どうしようもないダメ人間として扱われると思うのだ。
人の言うことは通じなかったり、屁理屈をこねては上げ足ばかり取ってみたり、責任は逃れようとズルをする、楽して儲けようと悪事をたくらむ、やりたい放題やって人を振り回しつつ、最後に痛いしっぺ返しを食らってオチになる。
しかも、最終的には一話完結の「ギャグ漫画時空」なので、次の話の時には周囲の状況は全て元通りになるのだ。
「ギャグ漫画時空」なんて言ったが、実は現実世界も案外そんなものでは無いか。
自分ひとりミスったところで、しばらく時間が経ったり、場面が変わったりすれば全て元通り―――
自分ひとりダメで、足ばかり引っ張っても、そのせいで人が死んだり国が亡んだりするわけではない。(国が亡んだらそれこそ不条理ギャグだ)
また、仕事を嫌になって辞めたりクビになってしまったとしても、餓えて野垂れ死ぬような国ではない。(野垂れ死にそうになっている主人公が悪知恵を思いついて・・・なんて、ギャグ漫画にありそうな展開ではないか?)
のうのうと生き続けていていいのだ。
自分はダメだ、一人だ、と思ったら、そういう自分の置かれた状況を自分を客観視して、戯画化して、楽しんでみる余裕が必要だ。
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今回の記事は、特に視野狭窄に陥りがちで、ちょっとしたことですぐに海の底まで凹みまくる自分への戒めとして、真剣に考えてみた。
最近、あまりにも自分と同世代の人間が死んだり殺したりするニュースが多く、辛くなってきた・・・