うさぎと亀の、亀じゃ生き残れない。
体調がすこぶる悪い。
兼ねてからの花粉症による鼻づまりと熱っぽさ、さらにその薬の影響か体全体に怠さがのしかかり、
おまけに最近の仕事のストレスである。
これで体調が良くなるはずがない。
※ ※ ※
社会人生活も、もうかれこれ1年半が過ぎた。
最近、仕事で孤立気味だと感じることが多い。
原因はいくつか考えられる。
ひとつは、前の記事に書いたように自分の性格の問題で、
人に質問したり何か頼んだりすることについて、かなり強い苦手意識を持っているということだ。
もうひとつは部の状況の問題で、
仕事量自体はそこまで無茶な量ではないのだが、
昨今の時短の影響で、皆自分の仕事をさっさと終えることに集中しているようなムードが漂っている。
部署の人が冷たいとか、気が合わないとかそういうことではない。
自力で考えて仕事をしなくてはならない。
同じ部署には20代の人間がおらず、「若手」のカテゴリにいるのは僕1人だけだ。
今この仕事をどこまでの水準でこなせるようになっていればいいか、道標が無い。
ただ、皆2年目を迎える頃にはもう、
今の僕よりもずっと早く仕事を身につけ、ソツなく回せるようになっていたのではないか、という気はする。
僕はかなり物覚えが悪い。
何をするにしても、もはやスタートラインから出遅れているようなことも多かった。
徒競走も折り紙も部活運営も、そして今の仕事も、
幼少期から今に至るまであらゆる局面で、僕はビリケツの人間だった。
皆ができることを、自分1人できずに途方にくれている。
校庭の真ん中で、他の皆がワイワイと楽しそうに縄跳びをしているのを、
何もできずに1人ぽつんと眺めている。
結構昔に体験したそんな光景が、今でもフラッシュバックする。
そうして1人でできないでいるると、
周りの人は初めては皆下手だったから、やってごらんよ、と慰めてくれるのだが、
周りの人はいったいいつ自分より早くそれを身につけたのだろうか、
また、最初の「下手」なやり方にしても、今の僕ほどは下手では無かったのではないか、
と思うことが沢山あった。
課題などを与えられたとき、その時間の中ではできるまで諦めずに、一生懸命やってみるのだが、
やっぱり時間内にはできるようにならず、結局何もできないまま時間が終わってしまう。
そんなことも思い出される。
うさぎと亀の童話といえば皆筋書きはご存知の通りかと思うが、
僕は、うさぎと亀のどちらに近いのかと言われれば、間違いなく亀の方に近い。
その場ではできなくて、一旦は諦めてしまったことも、
諦めたことについての悔しさを感じないわけではない。
失敗からしばらく時が経ち、できなかった悔しさの記憶が薄れてきた頃に、
なんとなくやってみよう、という気が起きて、再びチャレンジしてみる。
一回再チャレンジしたくらいでは、到底人並みの水準までできるようにはならない。
でも、それをさらに何回か、時間を置きながら繰り返すことで、
人の倍以上の時間と工程を経て、やっと人並みにできるようになる。
こうして、僕は一歩ずつ、人から遅れながら、着実に物事をできるようになっていった。
しかし、仕事の世界では常にスピードが求められる。
こんな亀のようにのろのろと、やっと一つ仕事を身につけたところで、
覚えるべき仕事の種類はもっと山ほどの数と種類がある。
亀の着実なスピード感を、誰も待ってはくれないのだ。
仕事の数は沢山ある。それを適時適切にガンガン捌いていくのが求められる能力だ。
人生はよくマラソンに喩えられるが、少なくとも現代の社会人に求められるのは、
亀的なマラソンの持久力ではなく、うさぎ的なシャトルランの瞬発力の方だ。
仕事を早く進めるためには、締め切りを決めて工数を見積もり、
いつ何をやるのかという計画を立ててから取り組むと良い、と云う。
僕にはかなり苦手なやり方だ。
目標を立てて、その通りに上手くいった経験というものが殆ど無いからだ。
たいていのものは企画倒れ、計画遅れ、日常茶飯事になり、
いつしか目標から逆算してタスクを細分化するやり方自体をしなくなっていった。
特に、仕事のプロセスを考える上で、他人に質問するという工程が必ず出てくることに悩んでいる。
人に質問する必要が持ち上がったが途端、頭がフリーズし、工程がストップし、計画通りに仕事が上手く進まなくなる。
今、僕は仕事に必要な、部署の不文のルールと知識とを、経験を通して覚えこんでいる最中なのだが、
いかんせん経験数が少ないため、まだ身につけたことを体系立てることができておらず、
前回はこうしたけど、今回もこうして良いのか、といった判断で、まだ迷いがある。
まだ自信をもって、判断できないことが沢山ある。
だからこそ周りに質問することが重要なのだが、
それが上手くいかず、仕事が思うように進まない、自分が中々成長できない、という苦しみばかりが胸に溜まっていく。
今、これからどうすれば良いのか分からない。
答えは、自分で見つけるしかない。
このままの体たらくでは、
3年目、4年目を迎える頃にまだ仕事を身につけられない僕には愛想を尽かされ、
代わりの人材を採用し、
その人が楽しそうに仕事をどんどん請け負っていくのを横目で見ながら、
僕には簡単な誰にでもできるような仕事ばかりが振られ、
30過ぎた頃には年齢相応のことが何もできず、
40過ぎで放り出され、
もう独立しようにも転職しようにも誰にも相手にされない。
というような、
そういう最悪のシナリオばかりが、脳内でぐるぐるとリピートされている。